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トランス脂肪酸とは(多く含む食品等)
今日、トランス脂肪酸に関心が高まっているようですね。
世界保健機関(WHO)も摂取を抑えるよう勧めているとの報道もあります。
では、トランス脂肪酸とはどのようなものなのでしょうか。
「トランス脂肪酸とは?」
トランス脂肪酸は油脂の成分の一つです。
加工時に生成されるものですが、自然由来の脂肪にも含まれている成分です。
含有量が多い食品はマーガリン・ショートニング、それを使った菓子類です。
例えば、マーガリンの原料の一部である「硬化油」。
この硬化油を製造する過程でトランス脂肪酸が生成されます。
「トランス脂肪酸は水素工程中に増加する」
少々、栄養学を交えた視点で見てみましょう。
脂質の中には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸と呼ばれる脂肪酸があり
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸に分類されます。
天然油脂の不飽和脂肪酸の多くはシス酸ですが、
化学的加工油脂では水素添加の工程中に触媒の働きでトランス化が起き、
増加するのがトランス酸です。
水素添加油にはトランス酸が含まれるので
これを原料とした加工食用油脂も同様になります。
前述した硬化油などは水素添加油なので、
マーガリンの含有量が多いのはこのためなのですね。
また反芻(はんすう)動物が口にする飼料中のシス酸が
反芻胃内の細菌によってトランス化された場合、
その体脂・乳脂には微量のトランス酸が含まれるとされています。
「トランス脂肪酸による健康被害とは?」
トランス脂肪酸は摂取しすぎると、心筋梗塞等の可能性が高まり、
また、アレルギー性疾患との関連も報告されています。
アメリカの20~59歳の平均摂取量は
一日5.6gで、一日の総エネルギーの2.2%というデータがあり、
トランス脂肪酸の使用を三年後、原則禁止にする措置がとられるとのこと。
一方、日本では食品安全委員会が2012年に
「日本人の食生活では健康への被害は小さい」とする評価書をまとめました。
食品安全委の計算では、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は
一日あたり0.67gで一日の総エネルギーの0.3%です。
しかし、一部に1%超の人がいるという報告もあり、
「脂質に偏った食事をしている人は留意する必要がある」と言及をしています。
「トランス脂肪酸を多く含む食品」
では、どのような食品に多く含まれているのでしょうか。
以下に列記してみました。
[プレミックス粉]
・ホットケーキ用ミックス粉
[パン類]
・食パン
・コッペパン
・ライ麦パン
[パン粉]
・生パン粉
・半生パン粉
・乾燥パン粉
[菓子パン]
・クリームパン
・チョココロネ
[ケーキ・ペストリー類]
・シュークリーム
・デニッシュペストリー
・イーストドーナツ
・ケーキドーナツ
・ホットケーキ
・カスタードクリーム入りワッフル
[ビスケット類]
・サブレ
・パフパイ
・ロシアケーキ(ヨーロッパ風の干菓子)
[スナック類]
・小麦粉あられ
[キャンディー類]
・ブリットル(ナッツ等を混ぜて作るハードキャンディー)
[チョコレート類]
・カバーリングチョコレート
(参考:食品成分表2015本表編)
「筆者の考え」
この記事を書くにあたって、
栄養学の面・材料(油脂)としての面といった所から
トランス脂肪酸を見ることに相成りました。
化学的加工の際に生じるトランス化とトランス酸増加との関係や
それがもたらす健康へのリスクは留意すべきことです。
一方でパン類や菓子類に必要な「脂質」であり、
パンやお菓子作りをする人にとってこだわりを持つ
重要な材料としての面も持っています。
健康に対するリスクはどんな食べ物にも生じる問題であり、
過剰な摂取は勿論のこと、不足した場合でも健康に影響が出てしまいます。
消費者である私達が自分自身の健康と向き合い、
購入する食料品を選択・確認を行うなど
食べ物と上手に付き合ってゆくことが大切なのではないかと思う次第です。
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